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新着・技術情報/コラム

万能ではないステンレス鋼管

平成22年7月6日
ジャパン・エンヂニアリング株式会社 リニューアル部 部長 佐藤 貴司

 

 ステンレス鋼管の普及率はここ10年で大幅な伸びを示している。

給水・給湯配管を始め空調配管や排水配管、最近では消火配管にも数多く採用されている。

ステンレス鋼管はご承知の通りステンレス鋼に含まれるクロムが大気中の酸素と結合して不動態皮膜が形成される。不動態皮膜は(100万分の3o)程度の非常に薄い皮膜だが大変強靭で、一度こわれても周囲に酸素があれば自動的に再生する特徴を持っている。(図1)

 鉄は大気中では、錆が発生しやすい性質を持っています。大気中に酸素がある限りこの現象を避けることは出来ない。

しかし、鉄にクロムを混ぜ、その割合が11%を超えてくると鉄錆びの発生がほとんどなくなる。これは、クロムが鉄より非常に酸化されやすく、表面がクロムの酸化膜で覆われるため、それ以上に酸化反応が金属内部へ浸透することを遮断しているためである。

この現象を『不動態化』と言い、その酸化皮膜を不動態皮膜と言います。

 

図1

(図1)

 

 しかし、塩素や高濃度の塩素イオンを含む溶液(200ppmを越えるもの)と接触したり、或は海から飛来するわずかな海塩粒子が付着するだけでも、容易に被膜が破壊されて腐食(さび)を発生する欠点がある。

冷却水配管など保温、ラッキングをしない配管などは海辺に近くなくとも、台風の影響や雨水に含まれる成分など色々な要因を考えると、外面に塗装を施し直接ステンレス配管に海塩粒子などが付着する事を防ぐ処置が必要かと思われる。

ステンレス管は万能で錆びない!ステンレスだからどんな配管でも大丈夫だろう!と言った間違った認識の中で管種の選定を行っているケースがあるようだ。

 

『事例1』

受水槽内で使用する配管で定水位弁以降のパイロット配管がある。ボールタップ接続用の配管にステンレス管を使用し1年経たずに腐食した事例がある。

ウォーターLEVELを境に液相部と気相部に分かれる。(図2)

液相部は水中内のためステンレス配管を使用しても問題ないが、気相部は気化した高濃度の塩素の溜まり場となっている。その場所にステンレス管を使用すれば間違えなく塩素のアタックを受ける。防食テープなどの防錆処理が必要となる。配管長が短いのであれば樹脂管をお勧めしたい。

 

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図2

(図2)

 

『事例2』

似たような事例でRC型受水槽の通気管にSUS304(SU管)を使用し1年で溶接部内面から孔食した例もある。(写真1)

これは推測すると受水槽内の水が蒸発し高濃度の塩素が気相部に溜まり通気管として使用されたステンレス管(SUS304 SU管)内部に塩素の通り道となって内面から孔食が起きたものと思われる。

※孔食とは、表面に1mm〜数mmの小さな穴があく現象で、水溶液のPHが中性付近で酸化剤とハロゲンイオン、特に塩素イオンが存在すると、不動態皮膜が局部電池の陽極となり不動皮膜のある健全な箇所が陰極となって、その間に大きな電位差を生じ短時間で深く侵食する

写真2 写真2
(写真2)

 

 

腐食事例だけでなく、ステンレス管の耐久性の良さを証明した事例も紹介したい。

『事例3』

今から7年前の平成15年に20年間使用したステンレス配管のサンプリングを入手することが出来た。

板橋にある集合住宅の給水ポンプが老朽化し新設することになった。受水槽、ポンプ廻りの配管も新設するにあたり既存管を撤去したところ、ステンレス配管SUS304(SU管)使用していた。接続にはCDU型ハウジング(ガスケットはEPR)が使用されていた。※(EPRはEPDM同等品です)

この集合住宅は、昭和57年完成で築20年の建物(平成15年当時)

サンプリング出来た配管は(図3)、ポンプサクション側の一部でSUS304(80SUSU)管、片側ハウジング用リング溶接、片側ラップジョイント白(SS400)ルーズフランジに鋳鉄製のゲートバルブが接続されていた。(写真3)

 

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図3 写真3
(図3) (写真3)

 

 

フランジ接合部

 

鋳鉄製ゲートバルブとの接続は、ラップジョイントにメッキ(SS400)ルーズフランジ、ボルトナット(ユニクロメッキ)、ガスケット(ゴム全面)を使用。
フランジのボルト穴には、全て絶縁スリーブ(つば付)が入っていた。(図4)

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図4

(図4)

 

ガスケットの外観

 

外観は外面の山部のつぶれがあるものの、大きな変形はなく特に劣化した箇所もなかった。

ハウジング内面の錆びがガスケットの外面に付着した程度だった。(写真2)

また、ステンレス管の内面は給水本管又は、鋳鉄製のバルブ類の錆びの膜が付着している程度で指で擦るだけですぐ取れ、きれいなステンレス管の肌が出てきた。(写真4)

写真4 写真4
(写真4)

 

リング内外面及び溶接部の状態

 

20年経過したとは思えないほどきれいで溶接部も破損,腐食等見られかった。

リング部はSUS304リングを使用、もらい錆び、腐食等はなかった。(写真5)

写真5

(写真5)

 

20年使用していても使用箇所、使用用途が適正な使用方法であれば一般の鋼に比較すると極めて優れた耐食性、耐久性、加工性を有する材料です。

しかし、特定の環境、使用条件の下ではステンレスは絶対錆びない金属ではない事を頭に入れておかなくてはならない。

環境に適した鋼種の選択、構造上の工夫など事前の配慮と適切な加工などの注意によって、長期にわたり機能を失うことなく使用できることができる。

現在では、インターネットによって腐食事例などの経験談を書き込んだサイトなども数多く掲載されているので是非活用してもらいたい。

ステンレス配管の間違った使用方法によりイメージダウンにならないことを望んでいる。

 
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