◇ 排水管更新工事の管種選択のポイント |
平成31年3月1日
フネンアクロス株式会社 板橋 修 |
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1 はじめに
築30年程度のマンションの排水管は金属管で配管されていることが多く、錆などにより劣化がすすみ配管改修工事が必要となります。改修工事には、部分的な「補修」、管の内部をライニングする「更生」、配管を新しくする「更新」の方法があります。一度の工事でそのご物件の解体まで排水機能を保つことができる工事は、錆びない樹脂管による「更新」工事ですが、採用する管種が重要となります。樹脂管は、多種多様でそれぞれ特長をもっておりますが、総合的に考慮しますと「耐火二層管」が良いと考えております。
2 管種選定のポイント
耐火二層管は、二層構造の配管材です。内管に錆びない塩ビ管と外管に耐火性のあるモルタル被覆管を組み合わせた複合管で、排水音を防ぐ遮音性、結露に対する防露性、火災時に燃えない耐火性があります。また、基本的に接着で配管するため施工が簡単で工事時間が短縮できます。
安心安全な生活を守る「耐火性」は、国土交通大臣認定品、日本消防設備安全センター評定品であり、もし火災が起きた場合、有毒な煙や火から居住者を守ります。
耐火二層管は、「月刊建設物価」((一財)建設物価調査会 発行)に掲載されており、材料費用の目安になります。また、一般性のある材料であり、工事中、緊急に部材が必要となった場合でも調達のしやすい配管材です。
新築マンションでも多く採用されている耐火二層管は、更新工事でも多くの実績があり、排水管更新工事に適した管種です。
◎管種選定のポイント
① 遮音性が良い
② 防露性がある
③ 施工が簡単
④ 火災や地震などの災害に強い
⑤ 更新工事での実績が豊富である
⑥ 国土交通大臣認定品、日本消防設備安全センター評定品
4 最後に
マンションの排水管更新工事で樹脂管を採用する場合、国土交通大臣認定(耐火性能判定)を受けたものとなりますが、その判定基準は防火区画外(他住居)への延焼や有毒ガスの漏洩がないこととなっており、火災発生室やその居住者への配慮は少なくなっております。実際に火災が発生した場合には、火災室からの避難時間を少しでも長くできることが求められ、それを考慮した配管材を採用すべきです。
また、実際に火災が発生すると樹脂管は加熱により変形や燃焼し、火災室の改修工事を行うまで上層階の排水制限が必要となる場合があります。軽度の火災では耐火二層管は、内管が変形や燃焼しにくい耐火性能があります。日常の排水音を軽減する遮音性や結露対策の防露性、火災時に強い耐火性を持つ耐火二層管は、総合的に優れ、更新工事前よりも快適で安心安全が確保できる住環境を実現できるものであると考えております。
以上 |