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新着・技術情報/コラム

マンションの大規模修繕工事で注意が必要なこと

平成30年11月1日
株式会社 エー・アール・シーエンジニアリング
一級建築士事務所
石橋 正義

 

1.はじめに

 

 マンションの大規模修繕工事を巡り、管理組合が割高な工事契約を結ばされたとする報告が国土交通省に多数寄せられている。管理組合と施工会社を仲介するコンサルタント業者が工事費を不当に吊り上げるケースがあるという。

 2017年に管理組合向けの通知で「格安のコンサル料で受託し、自社にバックマージンを支払う施工業者が受注できるように工作、割高な工事費や過剰な工事項目の工事発注を誘導して、管理組合に多大な損失が及ぶ実態が起きている。」ことを指摘して、注意喚起を行った。

 さらに、同省は、2018年5月建築事務所や設計コンサル会社を対象に行った調査について「大規模修繕工事に関する調査結果」として公表し、工事契約内容を慎重に精査するよう呼びかけている。

 調査で回答のあった134社の944事例を分析した結果、大規模修繕工事の1回目は築13〜16年で行われ、1戸当たりの平均工事費は100万円前後、2回目は築26〜33年で行われ、1戸当たりの工事費はほぼ同様な工事費であった。

 このような大規模修繕工事に関わる信用不安が起こっていることを踏まえて、パートナーとなる設計コンサルタント及び、施工業者選びにおける注意点についてのポイントについて述べさせて頂きます。

 

 

 

2.大規模修繕工事の実施に当たって

 

 大規模修繕工事の実施に当たっては、先ず建物の劣化状況を確認する調査、さらに、調査結果の劣化状況に対する技術的評価を行います。その結果を踏まえて、修繕の必要な箇所、その部位の項目毎の修繕方法と数量を算定し、改修設計などを行う設計コンサルタント(設計事務所、改修専門コンサルタント会社)、建設会社、管理会社などの専門業者が依頼先となります。専門業者を選ぶに当っては、管理組合と付き合いのある管理会社、あるいは専門業者の推薦を受けるとか、建設業界紙で公募することが望まれます。

 なぜ公募が必要かというと、公明正大に行うことで、区分所有者の合意形成が得られやすい。競争原理が働き、適正な価格に収斂されることが期待されます。尚、公募と称して、マンションの館内公募(居住者から推薦業者を募る)方法は、公募ではありません。専門業者選定において、選定作業に何らかの誘導が働いていることが考えられ、問題となることが後々発生することがありますので、注意が必要です。

 

 

 

3.大規模修繕工事の発注方式

 

 大規模修繕工事は、「設計監理方式」か「責任施工方式」を選定することが一般的です。「設計監理方式」は設計コンサルタント(設計事務所、改修専門コンサルタント会社)、管理会社、建設会社を監理者として選び、修繕工事の設計仕様の作成や施工会社の選定支援、工事中の工事監理を委託する方式です。

 「責任施工方式」は、調査診断から工事の実施までの全てを一括して発注する方式です。

 

 

 

4.「大規模修繕工事」は、どう云う修繕周期で実施するのか

 

 4−1.計画的な大規模修繕工事は修繕周期に縛られずに実施時期を見極める

 <建築>

  • 第1回目の大規模修繕工事は、新築から12年〜15年目頃に実施されることが一般的です。
  • 建物の経年劣化の状況は、建物の各部位の進行具合によって違います。長期修繕計画における設定時期に縛られずに、コンクリート部材のひび割れ、鉄筋のさび、外壁仕上材の塗装やタイルの浮き、防水材及び、シーリング材等の経年劣化について、建物調査診断により見極めた上で実施します。しかし、長期修繕計画は、修繕リスト項目の工事対象業者の発注計画予定リストとなり、判で押したように計画通りにほぼ予定金額で修繕が実施されている管理組合もあります。不要・不急の工事を見極めることで、修繕周期をずらすことが出来ます。計画書の項目毎にチェック機能が働けば、工事費の削減や長期修繕計画の収支バランスの調整を図ることが出来ます。

 <設備>

  • 設備機器・部材には耐用年数の短いもの、長いもの様々あります。長いものは長期修繕計画にカウントされます。
  • 例えば、給水管については、近年、耐久性の高い管材(樹脂管、ライニング鋼管、ステンレス管等)が使用されており、30〜40年は充分もつと言われております。特に共用部のメーターBOX内の給水管の継ぎ手部品が多いことから、管内錆が発生し易く、給水管の交換や給水本管の仕切バルブ等の改修が必要になります。

 

  4−2.計画的な大規模修繕工事の修繕周期の一般的目安は?

    <建築>     <設備>    
    *繰返し工事
(外部仕上げ材、防水、 シーリング等)
   
  1回目: 建築後 12〜15年        
  2回目:   25〜30年   建築後 30年〜35 (例えば給水管・排水管更生(更新))
  3回目:   35〜45年   建築後 35年〜 (例えばエレベーター更新、電気設備系)
消火設備(連結送水管、避難口)

 

 因みに、国土交通省の実態調査結果では、大規模修繕工事は概ね1回目は、築13〜16年前後、2回目は、築26〜33年前後、3回目以上は、築37〜45年前後の時期で実施されている。

 

4−3.工事実施前に必ず居住者アンケートを実施する。

 

 

 

  • 工事範囲・仕様を決める際に、重要になる専有部分の使用状況(バルコニーの置物、鉢物等設置数の確認、エアコンの台数・設置方法)と建物劣化情報(床・壁・天井)が得られます。
  • 居住者の大規模修繕工事に対する参加意識の高揚を図る上でも重要です。
  • 工事の発注者は管理組合です。工事に協力するのも管理組合と管理組合員(区分所有者)、そして居住者であることを充分認識してもらう上でも調査アイテムとして重要なものです。総会決議においても合意形成に役立つものと考えます。
  • しかし、実際に実施されているアンケート票を閲覧しますと、アンケート項目が少なく、形だけのアンケート実施状況にあり、その目的である“調査診断”には充分に活かされないようなものもありますので、是非、アンケート票のあり方にも注文を付けることが必要です。

 

 

 

5.設計コンサル業務の各業務内訳内容について、充分把握しておくこと

 

  5−1.建物調査診断業務

  • 現状の建物の劣化状態の調査、調査報告書には、調査結果とその評価及び、劣化箇所と数量の記載が視覚化されていることが大事です。

 <一般的内容としては次の様な項目が認識されていなければならない>

  1)予備調査・修繕履歴調査(竣工図の有無、建築部材の内容、仕様等)

  2)アンケート調査(調査項目、調査内容の整理・分析)

  3)全般的な目視調査・詳細劣化調査

  4)建築躯体・仕上げ・防水材の物理的調査

  • 外壁タイル浮き・・界面剥離調査
    (建築基準法12条、建物維持管理のための調査には定期報告制度があり、
     歩行者に危険のある場所は、10年毎に1回のタイル全面打診調査が必要になる)
  • コンクリート中性化調査
  • 既存塗膜の付着強度及び、塗り重ね、シーリング調査
  • 塗り床防水材の劣化調査
  • 屋根断熱・防水材の劣化調査
  • 建築二次部材、詳細目視調査
  • 鋼製建具、建築金物等の詳細目視調査

  5)機械式駐車場の劣化調査

  6)外構工作物などの目視調査

  7)管理組合の理事会への出席(1回/月)、合意形成の補助、総会への出席

  8)成果物:劣化診断調査報告書(アンケート調査集計結果報告書含む)

 

 

  5−2.修繕計画業務:建築診断調査結果に基づく修繕計画の立案

 <一般的内容としては次の様な項目が認識されていなければならない>

  1)「建築工事」の修繕計画の検討範囲

    (工事項目毎に修繕工法、設計仕様、修繕時期、概算費用を検討し、提案する。
             例えば、仮設工事、防水工事、外壁等躯体改修、建築二次部材等)

 

  2)修繕設計業務

  • 計画修繕工事の工事範囲を確定する。
  • 見積要綱を作成し、発注条件の整理を行う。
  • 各種工事毎に使用材料、修繕方法などの検討を行い、以下設計図書を作成する。
  • 修繕実施設計業務
    (工事設計仕様書、特記仕様書、図面、仕上げ表作成、見積記載項目一覧表(数量精査)

  3)見積記載項目一覧、設計見積書作成業務

 

  以上の内容が業務計画書に明確に提示されているか確認することが必要です。

 

 

 

6.設計コンサルタントの費用は適正か?

 

 平成30年5月11日付で国土交通省は、管理組合等によるマンション大規模修繕工事の適正な発注等に資するため、大規模修繕工事の金額、工事内訳及び、設計コンサルタント業務の実施内容に関する「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」を実施した件で、プレス発表がありました。国土交通省のホームページにおいて内容の概要が提示されています。

 この実態調査結果のポイントは、設計コンサルタントや管理会社から提出された見積内容とこの調査結果を比較することで、内容の相対的な位置付を確認し、適正な工事発注に活用できるようになっていることです。是非、大規模修繕工事に活用すれば、大いに役立つと思います。

 

6−1.設計コンサル業務の業務量(人・時)が著しく低く抑えられていませんか?

 今回、ある物件(RC造12階建て150戸、1回目の修繕工事)の設計コンサルタント選定における応募業者の見積書の業務内訳毎の見積金額を基に、業務内訳項目による業務比率等を算出して、比較した結果を「表−1 業務量と比率内訳」に示しました。これは、国土交通省の調査結果の平均的な業務内訳比率と比較したものです。(下段の%は実態調査結果を統計処理した代表的業務内訳比率を表しています。)

 国土交通省の業務報酬の算定方法は、国土交通省 平21告示15号に準じた方法による建築士資格の資格・業務経費等による区分(E):(Pa)32,000円+経費(Pa×20%)=38,400円/(人・時)と仮定した実勢価格方法で業務量を各業務内訳費用から逆算してみました。

 

(下表クリックすると、大きくご覧いただけます。ブラウザの[戻る]ボタンで当ページへお戻りください。

 

 

6−2.国土交通省の今回のマンション大規模修繕工事に関する実態調査結果を踏まえて、
    コンサル選定事例との比較検討した結果

 

  1)設計コンサルタント業務の内訳(業務量ウェイト)

  <調査結果から分かったこと>

  • 業務内訳は、調査診断が15.2%、設計が31.8%、施工会社選定への協力が8.1%、工事監理が40.3%、長期修繕計画の見直しが3.6%となっている。修繕工事回数(1回〜3回)による大きな違いは無い。

 

 

  <表−1に示す「設計コンサル選定」事例の見積書の内訳における比較>

  • 表−1に示す設計コンサルタント業務応募会社の各社の業務内訳と相対比較しても、ほぼ業務 ウェイトは一致しています。応募会社4社の内、3社は、設計コンサルタント会社、1社は管理会社です。特に、D社は②修繕計画業務・④工事監理の業務量ウェイトが、目安に対して10%以上のズレが生じており、バランスが悪いことが分かります。
  • 設計コンサルタント費の内訳を比較すると、A社・B社は400万円台、C社・D社は200万円台と2つのグループに分類されます。特にD社は消費税を除く税抜き表示をした結果、コンサル業務内訳の費用に全て1円単位の端数が付いてきます。この点に注目すると見積書の作成において、一般的な積み上げ方式ではないことが分かます。そこで、当該マンションの長期修繕計画書をチェックすると、調査診断の予算が1,884,000-計上されていたことから、予算枠内での業務内訳仕分け調整をして見積書を作成している疑いがあります。
  • 長期修繕計画の予算額内に納まっていることから、管理組合は、「廉価なコスト対応」に、信頼関係が強い管理会社に対して賛辞を送り、管理会社D社が選定されたようです。

 

  2)設計コンサルタントの業務量について

  <調査結果から分かったこと>

  • 業務量は100人・時間〜200人・時間が31.1%、100人・時間までが30.3%、200人・時間〜300人・時間が8.7%となっています。

 

  <表−1に示す「設計コンサル選定」事例の業務ウェイトに対する照合比較>

  • 設計コンサルの業務内訳を照合比較すると、A社・B社の設計コンサルタント会社の業務量は、総合計で比較すると、C社・D社の業務量の2倍、業務ウェイトが違うことが分かります。このことから、業務量がA・B社の半分のD社は、適正、的確な業務が果たして期待できるのか懐疑的にならざるを得ません。

  6−3.大規模修繕工事の設計コンサルタント業務費用の目安

  • NPO法人日本住宅管理組合協議会の「コンサルタント選定マニュアル」から費用の目安を抜粋したもの示す。他社見積金額との相対比較する場合の資料として参考にして下さい。
設計コンサル費用の目安
 50戸以下  250万円〜 350万円程度
 51戸〜100戸  350万円〜 500万円程度
101戸〜200戸  500万円〜 700万円程度
201戸〜400戸  700万円〜1000万円程度
401戸〜600戸 1000万円〜1200万円程度
601戸以上 1200万円〜1500万円程度

 

 

 

7.大規模修繕工事の実施に当たっての準備と体制上の問題

 

 7−1.利益相反の恐れあり

  • 設計コンサルタントを選ぶときは、価格重視ですぐに契約するのではなく、選定条件を検討し、選定項目リストを基に選定過程を視覚化できる検討結果を公表できるようにすることが必要です。
  • 特に設計コンサル料が極端に安い場合は、コンサル料を下げて受注し、割高な工事費の施工業者との契約を結ばせようとする可能性があるとみて、利益相反の恐れありとみて、取合わない方が後々問題が生じない体制にもっていく必要があります。
  • 物件事業者の子会社がマンション管理をしている場合、その管理会社が設計コンサルタント業務を受注した時、例えば、設計施工上、設計図書と異なる不具合が調査で確認されたとき、マンションの事業主(親会社)に忖度し、調査の内容について先に親会社へ報告し、管理組合への報告が遅れたり、隠蔽される恐れがないとも限りません。このような対応が確認された場合、発注者たる管理組合の利益と相反する立場にある設計コンサルタントの存在として指摘されることになりますので注意が必要です。
 
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