汚雑合流用スリム継手 「-1HQシリーズ」 |
平成28年3月1日
株式会社小島製作所 開発部 大浦 凌 |
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1.はじめに
平成25年7月30日付けの当研究会コラムでご紹介しました、ジャッキアップスリム短管工法/JUST工法は、[1]床スラブをはつらずに排水管を更新、[2]手動油圧ジャッキで既設配管を引き抜いた孔にスッポリ入る継手の挿入、[3]排水管更新に伴う、騒音・振動・粉塵・コンクリートガラの削減・埋戻モルタルの削減など、居住者の負担軽減だけでなく、施工も容易でエコな工法として、多くの現場でご採用をいただいてきました。このたび汚水・雑排水を1つの継手に合流できるスリム継手/-1HQシリーズを商品化いたしましたので、ご紹介いたします。
2.スリム継手のバリエーション一覧
既存の排水立て管を引き抜く工法は既に一般化しつつあります。当社の手動油圧式プルッシュジャッキ:PJ350に限らず、複数のメーカーから引抜き治具が発売されています。JUST工法の最大のメリットは、既設の管を抜いた孔にスッポリ入る継手、すなわちスリム継手であります。この度、汚雑合流用スリム継手の発売により、汚雑合流式の排水立て管にも採用が可能となりました。
3.汚雑合流用スリム継手の排水性能
スリム継手は既設配管を引き抜いた孔にスッポリ納めるため、スラブ貫通部に収まる直管部を既設配管より外径を-1mm細く加工しています。そのため従来の排水用特殊継手のようなテーパ形状とは異なり、負荷流量が多くなると排水が停滞しやすくなります。SHASE-S218「集合住宅の排水立て管システムの排水能力試験法」による定流量負荷実験の結果、汚雑合流用スリム継手「-1HQシリーズ」の許容流量は、5.7[l/s]-15Fであることを確認いたしました。
4.汚雑合流用スリム継手「-1HQシリーズ」は、何階まで使用可能か?
SHASE-S206「給排水衛生設備規準・同解説」による排水管径の決定法(定常流量法)では、対象となる排水立て管に「流れると予想される負荷流量:QL」より、計画している「排水システムの許容流量:QP」が大きいシステムを選定します。・・・・・許容流量:QP≧負荷流量:QL
負荷流量:QLは接続される器具の種類と数量により計算と排水管径選定線図から求めます。また、排水システムの許容流量:QPは、SHASE-S218「集合住宅の排水立て管システムの排水能力試験法」により、実験により求めます。なお、当社ではあらかじめ、器具の組み合わせごとの負荷流量:QLを求め、一覧表にまとめた「負荷流量早わかり」を提供しています(『hayawakari.xls』:Excelファイル。ダウンロードしてご覧いただけます。)。詳しくは当社ホームページをご参照下さい(http://www.kojima-core.co.jp)。
実験により求められた汚雑合流用スリム継手「-1HQ 立て管径100Aシリーズ」の許容流量:QP=5.7[l/s]を超えない範囲で使用できる器具の組み合わせと階数は表-2のとおりとなります。
台所以外が1本の排水立て管に合流する場合(便器+浴槽+洗濯機+洗面器)は、16階建てまで適応可能となります。

5.おわりに
JUST工法の普及により、居住者や施工者の負担を軽減し、より快適に排水管更新が行われることを念じてやみません。 |