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エレベーターのリニューアル工事について

2008年7月1日
財団法人若葉台管理センター 保全課長 大久保 輝郎

 

はじめに

 

・マンションの維持保全

 マンションを適切に維持し、快適な居住と有効な資産価値を維持することは、マンション管理の最も大きな目的である。

 マンションを可能な限り長く使えるよう維持していくためには、定期的な保守点検や劣化診断等に基づく計画的な修繕を実施していくことが大切である。

修繕には、劣化の発生や性能・機能の低下の都度に行う補修(小口修繕)と、一定の年数や経過毎に計画的に行う計画修繕とがありますが、マンションを効率的に維持していくためには、長期的な予測(長期修繕計画)に基づき修繕の計画を立て、これに基づいて行う計画修繕が重要となる。

 ただし、エレベーターについては、マンションの他の設備と違い保守点検がフルメンテナンス契約であることから、機械的な計画修繕及び小口修繕に関してはメンテナンス費用に含まれているため、稼動後の修繕内容や方法・時期等についても、保守会社に一任している。

 当団地内のエレベーターに関する計画修繕では、外壁塗装時等に併せた実施している美観的な修繕(三方枠の塗装及びカゴ内装補修等)。のみを実施している。

 このことから、設備の更新に関しては、稼動後28年を経過していることから、エレベーターに対する社会的な要求が高まっている現状をふまえて、以下の事項について改善を提案する。

 

1)

基本性能

 乗り心地・着床精度・安全性・信頼性について、制御機器を更新する事で改善をはかる。

2)

非常時対応

 地震や、故障といった非常時に対応する装置が装備されていない状態であることから、非常時において救出に時間がかかるおそれがあり、各種装置を付加することで改善をはかる。

3)

バリヤフリー対応

 小さいお子様やお年寄りなど、どなたにも利用しやすいエレベーターとなるよう専用装置を付加することで改善をはかる。

4)

ランニングコストの削減

 現状機種はモーター容量が大きく、インバーター化もされていないため、消費電力が大きく非経済的であることから、巻上機を更新する事で改善をはかる。

 また、メンテナンスについても、内容及び費用を改善する。

 

 

 

 

エレベーターの現状

 

1.設置年度

・1979年3月 10基(2台併設)
・1980年3月 3基(1台口)

 

2.建物概要

・鉄骨・鉄筋コンクリート造:9〜14階

 

3.機器仕様

・機種 住宅用エレベーター
・積載荷重 600kg(定員9名)
・定格速度 60m/min
・運転操作 2台群乗合全自動方式(2台併設)
方向性乗合全自動方式(1台口)
・制御方式 交流帰還制御方式
・停止階 4〜6箇所(スキップ停止)
・がご寸法 開口1050×奥行1520
・電動機 三相200V7.5KW

 

 

 

 

設備のリニューアル(準撤去リニューアル)工事の内容

 

エレベーターのリニューアル工事は以下の事項の改善を目的とした工事とする。

 

 

1.機器の安全性・信頼性の向上

 

 [1]耐震構造補強

適合する耐震基準に合わせて、各部位の対策を講ずる。

 

 [2]地震時の対応力強化

地震時管制運転装置を付加し、階間での閉じ込められる可能性を減らす。
【P波検知付3段設定】

 

 [3]非常時・故障時の対応力強化

遠隔監視・遠隔診断・直接通話機能を付加し非常時・故障時における対応を強化する。

 

 [4]乗り心地の改善・段差の解消

制御方式をインバーター制御・マイコン化することで乗り心地改善と着床時の段差発生を防ぐ。
【可変電圧可変周波数制御方式】

 

 

2.バリアフリー化による利便性の向上

 

 [1]利便性・視認性の向上

大型表示を採用した見やすく押しやすい操作盤に変更する。

 

 [2]搬送能力の向上

背面トランクルーム高さを既設品より高くし、荷持等の搬送能力を向上させる。

 

 [3]福祉対応の兼用装置の付加

光電管ドアセンサー・かご内側面の操作盤・手摺などを付加し、利便性を高める。

 

 

3.意匠の向上

 

 [1]かご室意匠の向上

かご室全体を明るく清潔なイメージとし、防犯・いたずらの抑制を図る。

 

 [2]乗場意匠の向上

各停止階の乗場扉の交換及び最下階の三方枠は傷に強く高級感を演出するため、ステンレス製の型枠を被せ、乗場扉はステンレス製エッチング仕上げとする。

 

 

4.ランニングコストの削減

 

 [1]電気料金の削減

リニュアル後は、制御方式がインバータ制御方式になるとともに、巻上機がヘリカルギヤ式になるため、電気料金が削減できる。(電動機容量:7.5KW→4.5KW)

 

13台分の金額 リニューアル前 リニューアル後 削減額
月額電気料金 ¥212,500 ¥97,500 (≒46%)  ¥115,000
年額電気料金 ¥2,550,000 ¥1,170,000 ¥1,380,000
15年間の削減額     ¥20,700,000
25年間の削減額     ¥34,500,000

  ※上記金額は計算値とします。

 

 

 

5.メンテナンスの品質向上(遠隔監視システムの導入)

 

 [1]直接通話機能

かご内インターホンと当団地内防災センター間との通話(CATV回線)以外に、かご内インターホンと保守会社の情報センター間との通話(電話回線)が可能となる。
非常時には【ガゴ内・防災センター・情報センターの3者の通話が可能】

 

 [2]遠隔監視機能

エレベーターを24時間監視し、問題が発生すると自動的に情報センターに情報が送信され、素早い故障発見・対応が可能となる。

 

 [3]遠隔保守機能

エレベーターのセルフチェック機能により、自動運転で状態の診断を行い、部位ごとに異常の有無を確認する。
[2][3]の機能を付加したことによる、故障及び故障後の対応等については、リニューアル前後の比較検討が必要となる。

 

 

 

 

工事期間及び工事期間中の対応

 

1.作業期間及び作業内容

 

 1) 2台併設

[1]工事期間 約3週間程度×2台≒45日(原則として期間中の休工日なし)
※1台は通常とおり運転「同時停止の作業は夜間(22:00〜5:00)作業」
[2]作業時間 9:00〜18:00(基本作業時間)
※音出作業は20:00までとする。
[3]工事用掲示板 最下階のエレベーターホールに設置する。
※掲示内容
イ) 工程表(着手から完成まで)
ロ) 週間工程表「作業内容(特に音出作業)」
ハ) 当日の作業内容・作業場所及び作業時間

 

 2) 1台口:14階建(54戸)

 ※エレベーター終日停止に伴うアンケートを実施

 ・アンケート結果に基づく個別訪問及び理事会(委員会)で検討

[1]工事期間 16日
イ)1日目 通常運転(養生他)
ロ)2〜5日目
  (4日間)
9:00〜17:00停止
※休息時間(昼食時)のみ運転
ハ)6〜12日目
  (7日間)
終日停止
※終日停止時の対応等について
a) 各階階段室に休息用椅子を置く(手摺有り)
b) 昇降補助員を1階エレベーターホールに待機させる。:1名
待機時間:午前8:00〜12:00 午後2:00〜6:00
【買い物などの荷物を部屋まで上げる手伝い。】
※利用者:1日に3〜5回程度利用されただけ
c) 緊急時の対応
最上階のエレベーターホールに"非常用階段避難車"を置く
所轄消防署に工程を説明し理解を得る。
ニ)13〜16日
  (4日間)
9:00〜17:00停止
[2]作業時間 9:00〜17:00(基本作業時間)
※音出作業は20:00までとする。
[3]工事用掲示板 最下階のエレベーターホールに設置する。
※掲示内容
イ) 工程表(着手から完成まで)
ロ) 週間工程表「作業内容(特に音出作業)」
ハ) 当日の作業内容・作業場所及び作業時間

工事用掲示板

工事用掲示板

・工事用ポストを設置(居住者等からの連絡用)

 

 

 

 

まとめ

 

1.エレベーターの更新工法について検討

 

 建物の耐用年数は(減価償却資産の耐用年数等に関する旧大蔵省令から)約60年であることから、更新工法については、準撤去リニューアルと制御リニューアルを比較検討した結果、建物が築28年経過していることと、エレベーターの安全性・信頼性・価値を高めるための工事であること、さらに更新後の修繕等を考慮して準撤去リニューアル工事を採用することにした。

 今回既設再使用の部材「乗場(三方枠・乗場敷居)、昇降路内(メインレール)」の劣化は見られなかった。

 このことから、共同住宅のエレベーターの更新は、劣化の度合いも少ないため、25〜30年範囲が妥当である。

 

 

2.工事の実施について

 

 エレベーターの更新工事は共用部分の工事であるが、騒音を伴うこと、特に1台口のエレベーターについては作業に伴い連続して終日停止になることから、居住者の生活への支障等については、事前の住民説明会及びアンケートの実施等により、小委員会で解決策を講じたことが、大きなトラブルなく工事を終了することができた。

 
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