当社ではマンション、アパートなどの集合住宅の排水管洗浄業務を行っていますが、専有部内の洗浄作業、特に洗濯機配管の洗浄について問題が生じるケースが多くなってきています。以下に問題点を挙げていきます。
洗濯機用防水パンのサイズの問題
ほとんどの共同住宅では洗濯機用防水パンが標準仕様として採用されています。BL規格の標準タイプの大きさは640×800ですが、近年間取りの関係からか640×640のタイプが増えてきています。このタイプの大きさでは排水口の位置が洗濯機の下部に隠れてしまうものや、洗濯機を移動しないとトラップ部品をはずせないものがほとんどです。当社では洗濯排水管洗浄時には配管高圧洗浄とトラップ取り外し清掃を実施しますがこの場合、作業を実施するには洗濯機を移動させるか洗濯機前面パネルをはずして(洗濯機のタイプによっては不可ですが)トラップを取り外す作業が必要となります。また、このタイプの場合、洗濯機まわりのスペースもあまり取られていない事が多く、今度は移動した洗濯機を置くスペースがない、移動したら作業スペースがなくなった、ということもよくあります。
洗濯機の大型化・重量化に伴う問題
ここ数年、ドラム式や乾燥機能つきの高機能洗濯機の普及が進んでおり、従来型から比較すると重量は容量8.0キロのファミリータイプでは従来型の40kg台から70kg〜80kgとかなりの重量となっています。ひとりで持ち上げるのはかなり困難です。大きさについてはほとんどが640×640の防水パン内に設置できるようなサイズでつくられているようです。また、最近は改善されているようですが初期の洗濯乾燥機には糸くずフィルターが搭載されていない機種もあり、排水と一緒に糸くずが流れてトラップや排水管内に糸くずが詰まりやすいタイプもあるため注意が必要です。
洗浄作業時におけるトラブル事例
洗濯機配管洗浄時におけるトラブルは、上記2点が原因となっているものが多くあります。主なトラブル事例をあげると
●洗濯機移動後にエラー表示が出る
(ドラム式洗濯機の洗濯槽のバランス調整がずれてしまった。洗濯機移動復旧時に排水ホースの取回し具合が悪かった等。)
●洗濯機移動時に付近の壁クロス汚損
(洗濯機が重すぎて作業員がよろけた際にぶつけてしまった)
●洗濯機移動時に防水パン破損
(洗濯機が重すぎて作業員がよろけた際にぶつけてしまった)
●洗濯機給水蛇口から水漏れ
(洗濯機移動時に一旦外して再度取付したがパッキンが劣化していた)
●トラップ部品が適正につけられておらず、臭気があがってきた
(無理な体勢でトラップを取り付けたため正しく取付ができていなかった)
●洗濯機本体が原因のトラブルであったが洗浄作業で移動したことが原因であると居住者に疑われてしまった。
排水管洗浄会社が考える望ましい形態
排水口が隠蔽されておらずトラップの取外しが容易におこなえる形になっていれば、洗浄作業を問題なく実施する事ができます。また、居住者がトラップの清掃など日常のメンテナンスを行うことができるよう容易に脱着できるようなトラップ、標準サイズの防水パンをデベロッパーが採用している事、洗濯機メーカーが排水トラップ清掃を考慮した製品をつくる事などができれば維持管理におけるトラブルは減少するものと考えます。
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