■1995年1月17日午前5時46分、兵庫県南部(神戸市・芦屋市・西宮市)の過密都市をM7.2の直下型地震が襲った。
倒壊した建物、壊滅状態のライフライン、都市の安全対策の脆さをまざまざと見せつけられた。
生活の基盤である住宅・マンションにも多くの被害が見られた。その様子が時々刻々とテレビで放映されており、災害のすごさや被災者の不便な日常生活が今でも目に焼きついている。
■10年後の2006年1月17日、竣工後26年を経過した140戸のマンション理事会の設備系リニューアル計画会議に筆者は参加した。
議題は「東海地震を想定した短中期設備修繕計画」であった。
どのマンションでも、竣工後20〜30年を経過したあたりから、設備のリニューアル工事が始まるのであるが、管理組合の理事会は、建築外壁・防水等の大規模修繕工事で精根尽き(修繕積立残金にもかげりが見えているのであるが・・・)設備系のリニューアル計画には力が入らないのが実情である。
しかし、筆者の参加した理事会はやる気があり、兵庫県南部大地震の実態やその時得た教訓をどのように生かしたらよいのか、また今後の設備リニューアル計画を如何に立てるかを討議した。
■設備リニューアル時に地震災害対策も組み込んで計画するべきであると決議され、筆者も含めた理事数名で県・市の災害対策課や上下水道局等を訪問し、災害時のライフラインの実態やマンション管理組合の居住者への対策・対応をヒヤリングすることができた。
被災によりライフラインがストップした場合、マンションの居住者がダメージを受けるのは、飲料水や生活水、トイレ施設が不足することなどである。その為、行政に頼らずに対策を立案することを確認できた。
■設備系リニューアル計画に地震災害対策を組み込む報告を受け、理事会では飲料水の確保のため、給水設備計画のうち受水槽改修、給水管埋設部分改修等を行うことを決定した。
受水槽改修では、既存の基礎の見直し、受水槽本体の材質の見直し、受水槽容量については被災状況の想定と水質の保持対応を考えて決定する。
また、配管類は、耐震性・耐久性・メンテナンス性(緊急遮断弁等)についても配慮した。
マンションが被災しても状況によっては建物の中で生活ができるケースもある。
しかしライフラインが使えないため、避難生活をおくることになる。そのようのことを回避するためにマンション管理組合が今後とも自力で対策を立てることが望まれる。
設備リニューアル計画や中長期修繕(再生)計画を行う時期に検討することを考えたい。
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