はじめに
東京都水道局ではメータ前後の継手部の腐食によりメータの取替え時の支障やメータねじ形状の問題等から平成16年1月より集合住宅に設置するメータ周り配管をメータユニット(以下、ユニットという。)が義務化され、ユニットは横浜市ほか各都市での採用も増えています。
ユニットを採用する事で、配管周りの防食、施工容易、省スペース、メータ交換が容易、メータ接続が圧着式となりねじ形状に左右されないなどのメリットがあります。
しかし、各都市によってユニットの要求仕様が多少異なり、また、ユニット自体の構造・性能も各メーカによって相違があります。これら相違点について概要を紹介します。

(株)ベン ユニット外観写真
1.東京都のユニット基本構造:
1.1:基本条件:
ユニットは、台座上に止水栓、メータ設置器具、逆止弁を取付け、一体としたもので、ユニットに関する基本条件を抜粋すると次の通りです。
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1) |
都の停水キャップの取付け、取外しが容易に行えること。 |
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2) |
ユニットは、アンカーボルト、全ねじボルト等で固定できること。 |
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3) |
メータ設置位置の一次側にボール止水栓、二次側に逆止弁が取付けられていること。 |
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4) |
ユニットの配管接続部の形状をテーパねじとする場合は、管端防食コアを内蔵すること。 |
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5) |
ユニットには、止水栓、メータ接続器具、逆止弁の基本器具以外に減圧弁を取付けることができる。その際、減圧弁は取替え等のメンテナンスが容易に行えること。 |
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6) |
逆止弁は容易に点検、取替え等のメンテナンスが行えること。 |
1.2:メータの接続方法:
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1) |
ライドハンドルの回転等でメータ接続部を伸縮させ、メータを圧着して取付ける方式。 |
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2) |
パッキンを圧着することで、接続した部分の漏れを防止できること。 |
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3) |
パッキンを介してメータをユニットに接続した際、設置されたパッキンにずれ等が生じないような適度な溝等が設けられていること。 |
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4) |
メータの都ねじ及び上水ねじに共用で取付けできること。ただし、口径25mm用については、メータ通水口の内径に対応する外形を有する円環嵌合部を設けること。 |
1.3:メータパッキン:
都の指定するパッキンまたはOリングを使用すること。
1.4:ユニットの性能:
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1) |
ユニットの性能は、厚生省令第14号「給水装置の構造及び材質の基準に関する省令」における次の基準を満たすこと。 |
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[1]耐圧に関する基準
[2]浸出に関する基準
[3]逆流防止に関する基準 |
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2) |
ユニットのボール止水栓の性能は、日本水道協会規格「水道用止水栓(JWWA B 108)」における4.2止水性能の基準を満たすこと。 |
2.各都市の仕様:都市名は割愛します。
メータユニットの基本的な構造・性能は東京都と同様であるが、各都市によって各部位には指定があり選定時に注意する必要がある。
2.1:材料:基本的には厚生省令第14号の「浸出に関する基準」であるが、採用材料の指定もある。
2.2:メータパッキン:メータ交換時を考慮した指定がある。
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1) |
Oリングまたは平パッキン:メーカの申請による。東京都は寸法指定がある。 |
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2) |
平パッキンのみ:従来と同様で寸法指定がある事が多い。メーカの表示記号の指定。 |
2.3:止水栓:各都市による従来からの止水栓指定がある。
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1) |
停水キャップが取付けられる構造:停水キャップも都市によって多少異なる場合がある。 |
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2) |
伸縮管付止水栓:在来配管等における施工性が容易。 |
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3) |
開閉防止型止水栓:都市によって構造も異なる。 |
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4) |
孔付ハンドル: |
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5) |
樹脂製白色ハンドル: |
2.4:その他:
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1) |
メータ保温ケース : |
設置の義務付けもある。普通メータと隔測メータによって保温ケースの大きさが変ります。 |
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2) |
ユニットへの減圧弁組込不可 : メータユニットのみ。 |
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3) |
一次側止水栓:逆止弁付レバー式止水栓 |
2.5:メータユニットの採用:
ユニットの採用状況は各都市によって考え方が異なります。また、戸建用メータユニットを採用している都市もあり、集合住宅用と混同されることもあります。
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1)義務化 |
: |
都市への申請品のみ使用可。 |
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2)申請によって承認 |
: |
在来配管で可。ユニットは申請が必要。 |
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3)現場ごとの申請 |
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在来配管で可。ユニット使用時は申請。 |
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4)水道法適合品は使用可 |
: |
在来配管で可。適合品であればユニットも可。 |
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5)使用不可 |
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在来配管のみ。ユニットの採用を認めない。 |
3.構造・性能:
各メーカのユニットは基本条件・構造は同様であるが、個々の構造や性能には相違点が多くあります。
1.4項のユニットの性能において止水栓および逆止弁については圧力損失等も規定しているが、ユニット全体の圧力損失(減圧弁のオフセット)は規定されていません。
3.1:構造:収まりが良いか、施工性が良いかなどの確認。
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1) |
小形・軽量等の収まり(省スペース)・施工性: |
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* |
減圧弁付の質量では各社によって、3.3kgから5.8kg位まであります。 |
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2) |
端接続の方向性、二次側継手等:標準品 |
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* |
一次側が固定および首振りタイプ、二次側継手が1口および2口があります。 |
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一次側方向性: |
縦配管右流れ |
横配管右流れ |
3.2:性能:使用時の圧力・騒音などの性能確認。
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1) |
性能(流量) :ユニット全体の圧力損失、減圧弁付は設定圧力からの圧力損失。
高層階等の低差圧時の圧力損失。 |
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* |
圧力損失はP1=0.5MPa、P2=0.25MPa設定、流量40L/min時に0.055MPaから0.098MPa位までの差があります。 |

流量特性
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2) |
性能(騒音) :低層階等の高差圧時の騒音値、異常音の発生等。 |
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* |
騒音値はP1=0.5MPa、P2=0.25MPa設定、流量40L/min時に43dBAから55dBA位の差があります。 |

騒音特性
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3) |
耐久性、耐圧・気密性等:外部漏洩など、万一の安全性。 |
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* |
メータ設置時の締付けに対して、架台等が変形するものもあります。 |
3.3:維持管理:緊急時の対応、メンテナンス性などの確認。
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1) |
メータの設置・交換: |
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2) |
減圧弁の分解点検・交換: |
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3) |
逆止弁の分解点検・交換: |
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以上の試験数値等は、弊社での確認結果です。 |
4.新型メータユニットの紹介:
従来型の減圧弁付ユニット「型式:RMU-1〜3型」と新型ユニット「型式:RMU-4型」は、基本構造は同様ですが皆様のご要望に沿った改良をいたしました。

構造概略図
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1) |
面間(管芯)寸法を小さく:標準は二次側継手を縦方向とする。(-33mm) |
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2) |
二次側継手を2方口:給水・給湯分岐継手を標準化とする。取出し方向自由(回転式)。 |
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3) |
逆止弁のメンテナンス容易:メータを設置した状態で分解点検および交換可能。 |
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4) |
メータ用保温ケース:隔測メータ用保温ケースの系列化。 |
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5) |
止水栓:各都市向け止水栓(伸縮管付、開閉防止型など)の系列化。 |
5.まとめ:
マンションのリニューアルなどで在来配管からユニットに変更する際、設置場所の都市によって構造の一部が変る場合が多く、設置後のトラブルを回避するために注意が必要です。
弊社の場合、標準在庫(流通在庫)は東京都向けになっています。メーカへの発注時には設置場所(都市名や企業体名)をご指定下さい。
ユニットの外観は各メーカ類似していますが、個々の性能については大きな差のある商品もあります。また、継手等も標準化されたものとオプションではコストや施工性が変ると思います。設置スペースなどを勘案して選定することが必要です。
以上
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